glory days

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ロジカルにロジカルに、って呪文のように唱えていたら、面白いことがまーったく、思いつかなくなったのでやめることにした。キャラじゃないことをしていたら身体に無理が来たのか、結膜炎に再びかかる(年末より2度目)。眼が痛いと、もう見た目なんてどうでもよくなってすっぴんで会社行ったら、営業の人だけが「顔色悪いけど大丈夫?」って声かけてくれた。手を顔の前でひらひらして、「すっぴんだから、もう、こうやってモザイクかけたいんですよ〜」って、カニ走りでその人の前から逃げた。 

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帰り道、ランダム再生にしていたIphoneからふいに流れてきた小沢健二がばかに感傷的で、自分でバカだなーと苦笑する。ま、せっかくだからと「球体の奏でる音楽」をITunesで購入しようともくろむも、取り扱いなし。がっかり。が、代わりに視聴したくるり「坩堝の電圧」に耳が離せなくなる。

私の青春はNIKKIで終わり、2007年、Tantez Waltzを聴いて、ああ、やっぱり大人になってしまったと納得して卒業したはず、だったのに。

・・夢は続く 繰り返す 振り返れば お月様

・・裸足のままでいく 何も見えなくなる

聴けば聴くほど学生時代の色々な懐かしさと、年を取ったけど変わらずにわくわくしている自分が、ばかやろうで笑える。なんなんだ、青春時代リバイバルか。

ラストトラック、「everybody feels the same」、「ばらの花」「ロックンロール」「東京」、今聴いても印象的なくるりの名曲達が素晴らしい配合で混ざり合い、「glory days」と名を変えて再び新しい名曲として生まれ変わっていた。ただ私には、この曲がくるりが過去の栄光と決別するための曲のように感じた。また更なる高みに向けて走り出そうとする彼らの決意ががんがん伝わってくるようで、元気をもらう。

私も、このアルバムを聴きながら、むこうみずだったあの頃の気持ちを思い出して、今年は何か面白いことが出来るかもしれない。

jam 2012

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この一年を振り返ると、近年でもとりわけ濃密な日々だったように思う。2月までの日本暮らしは短い期間だったけど、自分が思っていた以上にたくさんの人の優しさに支えられていることを教えてくれた。3月からはベルギーで、初めて見聞きする事柄に心躍らせながらも、分からないこと、出来ないことを深く自問自答することが多かった。

・・・公私共々、自分で決めて動くということがどれだけ大変なのか、ようやく気付いたのは大きな成果かもしれない。決めることも難しいし、動くことはもっと大変。壁にぶちあたってはくじけてばかりの私に、いつも手を差し伸べてくれるお友達や家族に感謝したい。2013年は自分のことだけじゃなく、誰かに手を差し伸べられるくらいの自信が身に付けられますように。

遅ればせながら紅白の美輪明宏ヨイトマケの歌」を拝聴。胸が熱くなる。NHK、やるなあ。外からは新年を祝う花火の音が絶え間なく聞こえてくる。さあ、明後日からもう仕事。日常はあっという間に戻ってくる。

I've got to see you again.

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すっかり月報になってしまっているけど、それはつまり書き留めておこうと思うことが少しずつ減ってきているからだろう。発見や驚きが薄まった代わりに、日常が板についてきた、ようやく。

赤道直下のガボンへ。フランクフルト経由でまるっと一日かかった。ココナッツのような乳白色の匂い、身体にまとわりつく湿気、ヴィヴィッドな洋服、絶え間ない車のクラクション。五感に入ってくる何とも言えないざわめきに、ああ、熱帯に来たと実感する。

今回の私は、我ながらすっごく目立った。東洋人、若い、女性。珍しさ三重奏。知らない人から手を振られたり声をかけられて、そのたびに自分は何者か説明する。日本人であることや、会社員であること。ああ、こんな普通のことを伝えないと、自分を分かってもらえないんだな、と、少し悲しくなりながら。でも私はこんな普通の人間ですけどね、よろしくね、って拙い言葉で伝えたら、最後はみんなありがとう、さよなら!って笑顔で手を振ってくれた。ちょっとだけでも分かり合えたことに感謝して、私も、さよなら!って手を振る。

ベルギー暮らしもあと100日を切った。暖かい日だまりも、冷たい雪のような日もきっとあるだろうけど、さらっと最後まで前を向いて走り抜けれたらいい。

Days Of Wine And Chocolate...

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今日からサマータイムが終わって、日本との時差は8時間。なんとなく、気持ちも、少しだけ遠くなる。

昨日は初雪。Skypeで話していたら、シャーベット状の雪が横なぐりで降ってきて、ほら、見て!とウェブカメラを窓へ向けた。室内はどの部屋も暖房が効いていて、薄手のシャツで過ごしているから、寒い寒いと言う私の言葉にリアリティがないよ、と笑われる。

買い物がてらに外を歩くと、ぐんと冷えた空気で手がかじかむ。手袋を買わなくては、とポケットに手を突っ込んでうつむいて歩く。ほんとに寒いんだけどね、でもまだ我慢できるくらい。寒さで目が冴え冴えとしてくる今ぐらいの気温が結構好きだな。アリステア・マクラウドの「冬の犬」をもう一度読み直したくなった。

なにがきっかけか分からないけど、今は一山越えて一皮むけたような、むき卵のような心持ち。美味しいチョコレート屋さんでホットチョコレートの元を買ってこよう。相変わらずまんじゅう系から脱出できないなあ、まあ、いっか。

写真はテルアビブから臨む地中海。

Girl Talk

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つらい8月が通り過ぎて、気が付けば9月も半ば。日々に駆けずり回り引きずり回されているうちにいつしか平常心を保てるようになるのはありがたくもあり、一方で振り切っていく過去へのさびしさもあり。

 みるみる間に日差しは丸みをおびて柔らかく弱い光へ変化し、深々と茂っていた森が葉を落とし始めている。うすぼんやりとした光は、朝、目を覚ますには少し物足りなくて、ぐずぐずとベッドで転がる時間が増えた。

ベルギー滞在の折り返し地点が過ぎて、もう半年だね、あと半年だよ、とあちらこちらで言われては、残された時間で何ができるのか、帰国してから身の振り方をどうするか、定まらぬ心が悩ましい。腰を据えてえいっと何かを為すようなことができないまま、移動ばかりしていて根無し草の気持ち。

そんなときたまたま、日本の縁をもう一度結びなおすように、親しい人たちと再会する機会を得る。また会おうといって別れて、再会を喜んだ先がヨーロッパのあちらこちらというのはなんとも不思議としかいいようがなくて。

家族が増えたり住むところが変わったり、流れ流れていくのは自分だけでなく誰しもみんな浮世に漂うものだから、ちょっとやそっとのことで浮き沈みを悔やんでいるよりか、ただ無心に流されていく時期があってもいいんじゃないかな、とか、とにかくくよくよ悩まないこと!って、ずぶぬれになった猫みたいな情けない顔をしている私をみんなそれぞれの方法でアドバイスしてくれたり、励ましてくれたり。おかげで少し元気を取り戻したら、しばらく会っていないあの人やこの人のことをふいに思い出して、あの人もこの人も、自分のことをほんの少しでも思い出してくれたらいいなって勝手なことを思っている。そんな淡い願掛けをしながら、そうだ手紙でも書いてみようかなと、引出しをあけて便箋を選ぶことにした。

I just call to say I love you.

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パーティーってどうも苦手で。でもこのところお付き合いでどうしても、ということが続いている。こちらの人たちはパーティー慣れしてるからドレスが板についていて、さらっとコート脱いだらノースリーブ、とかがっつりミニスカートとか。こちとらヒートテック着込んでるんだよ悪いかよって開き直って地味なワンピースで出席。普段より少しだけ高いハイヒールを恨みつつ、もそもそとおいしくないごはんを食べる。

人の輪をくぐり抜けて、ようやくたどり着いた柱に寄りかかりながらバンドの演奏を聴くのが好き。同じように外れてる人たちと「同類ですね・・・」シンパシーを送りあいながら。こういうときって、だいたい中国系か韓国系かに間違われて日本人には話しかけられない。必要に応じて私から話しかけることはあるけど、二言目には「独身ですか?」って聞かれるのにもう疲れた。そんなこと聞いてどうするよ。

きらきらとした華やかな暮らしは、ミーハーながらにあこがれていながらも、生来の気性にはとんと見合わないことを存分に思い知って。周りの熱狂とは距離を置きながら、柱のひんやりとした感触を好ましいと思った。